財団設立趣意

我が国の社会が高度経済成長やバブル経済を経て社会環境・価値観が急速に変化し21世紀を迎えた今、人々は、経済的・物質的な豊かさよりも、多様なライフスタイルとゆとりある心豊かで質の高い個性的な生活を大切にするようになってきている。そうした中で、生涯を通じて一人一人が気軽に様々な芸術文化に触れ、主体的に芸術文化活動に参加できる環境が地域社会に求められている。このため、地域社会を形成する市民及び関係住民に対して、質の高い芸術の鑑賞・体験の機会の提供、人材の育成を含めた住民自らの創造的な文化活動への支援等を推進していく必要がある。

市民が参加し文化を創造することは、市民の主体性を喚起し、完成までの過程を参加者全員が経験することで、逆に自分自身の役割の再認識や自立する個人としての人間形成に大きな影響を与える。特に、世代間交流も含め人間関係が希薄化し、仮想現実感(バーチャルリアリティ)の肥大などの中で、自然や社会とのふれあいが減少してきている幼少の子供や青少年にとって、文化創造活動に参加し、世代を超えた人々との交流を行うことは、豊かな感受性を育み自分の存在感や自己実現の喜びを体験できるとともに社会性・協調性を学ぶ場となる。

このような目的を達成できる機関は、単に営利を追求するものではなく、地域社会と共同で、しかも教育的配慮のもとに理念を実践していかなければならない。また同時に、常に新鮮で付加価値の高い芸術文化の創造を継続的・長期的に推進するには、極めて特殊で高度な専門性が要求されるとともに、民間の自由な経営手法を取り入れ、弾力的な手法を駆使する必要があり、従来の行政組織で行うには限界がある。

よってここに心豊かな地域社会の形成に寄与するため、質の高い芸術の鑑賞・体験の機会の提供と住民自らの創造的な文化活動への支援などを行う公益法人「財団法人北上市文化創造」を設立するものである。